開業を早まるな!

(2020年7月13日)

おりーです、
 
時期尚早ということですね…。
 
オンライン面談のYさんが
ため息まじりにつぶやきました。
 
Yさんはサラリーマン大家ですが
さらに収入の柱を増やすために
グループホーム開業を準備中。
 
実際に役所にも足を運んで
物件の相談をしたりしています。
 
いろいろ情報収集される中で
経営者のリアルな話を聞きたいと
私のところへ連絡をくれました。
 
熱心で行動力がある一方で、
見切り発車しない慎重さがある。
 
この人はうまく行きそうだなー…。
 
と思いながらお話を聞きました。
 
 
が、
 
やっぱりやめた方がいい。
 
 
なぜかというと、
 
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他人まかせでは儲からない
 
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からです。
 
グループホームの経営は
セミナーなどで言われているほど
簡単に儲かるわけではありません。
 
特に開業当初は。
 
もちろんまともな運営をすれば
ちゃんと利益は残りますが、
リスクもあるし手間もかかる。
 
大小様々なトラブルがあります。
 
管理者やスタッフに任せっきりにしては
軌道に乗せることは難しいと思います。
 
 
Yさんの場合、
 
・大家業をしているがまだ脱サラはできない
 
・今は長期休暇だが復帰したら忙しい
 
・福祉の経験はなく本格的にやる決意もない
 
・開業予定の地域が遠方(所有物件)
 
という状況なので、
経営の舵取りをすることは難しく
どうしても他人任せになってしまう。
 
 
優秀な人材を経営者に据えて
従業員の層を厚くすれば
お任せでもうまくいくかもしれません。
 
ただし従業員を増やすのにも限度がある。
 
1棟4室程度の規模であれば
社員1名+パート数名が妥当です。
 
1棟だけでは儲かりませんので
2棟3棟とやりたいところですが
現場の社員が動けなければ無理な話です。
 
オーナー自身が動く必要がある。
 
 
Yさんもうすうす気づいていました。
 
1棟目の立ち上げはできても
その後の運営にはリスクがある。
 
2棟目以降の事業拡大にも労力がかかる。
 
開業して満足してちゃダメなんです。
 
ぶっちゃけ儲かりませんよね?
 
今の状況でYさんが開業しても
その後が厳しいという結論になりました。
 
 
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投資じゃなくて事業です
 
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グループホームは住まいなので
不動産投資の延長で考えてしまう
大家さんが多いようです。
 
でも実は全く性質が違います。
 
 
大家業は他人任せ。
 
グループホームは自分次第。
 
 
大家業の運営は他人任せです。
 
資金調達、物件購入、事業計画など
立ち上げはオーナーの仕事ですが、
運営は管理会社に丸投げです。
 
立地と設備と家賃設定が決まれば
差別化要素はほぼありません。
 
だから運営は丸投げで良いのです。
 
客付も家賃回収も修繕もすべて
外注することができます。
 
 
グループホーム経営=自分次第
 
立ち上げはオーナーの仕事。
 
そして運営も方針次第で大きく変わります。
 
ハコ貸しの不動産投資と違って
グループホームでは人が人を支援する
いわばサービス業だからです。
 
飲食店とか、
 
美容院とか、
 
整体院とか、
 
立地や設備も重要ですが、
運営が悪ければあっという間に
廃業になりますよね。
 
広告、集客、仕入れ、販売…
 
何よりもサービスの質です。
 
サービスの質=人材の質
 
経営者はスタッフを束ねて
サービスを構築しなきゃならない。
 
グループホームで言えば、
利用者さんへの支援体制とか
ホームの運営方針といったこと。
 
サービスを作るのは経営者の仕事。
 
社員を雇って任せっぱなしで
順調に運営できれば良いのですが
そんなことはほとんどありえない。
 
あなた自身が運営することをお勧めします。
 
 
しかも、ゼロからの起業ですから。
 
経営が軌道に乗らなかったら…
 
事業所の存続に関わる事故があったら…
 
万が一、雇った経営者が逃げたら…
 
結局のところいざという時には
自分が出て行かなくてはいけません。
 
 
そして、もう一つ理由があります。
 
資金面と業務量を考えても
オーナー自身が働かなきゃいけない。
 
 
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1棟4人じゃ火の車
 
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1棟4室で売上130万円。
 
運営費を引いて粗利50万円。
 
毎月安定的な収益が見込める
手堅い事業であることは
間違いありません。
 
でも大きな額ではありません。
 
社員1人雇用するのがせいぜいです。
 
事務所の家賃とか求人広告費とか
社用車リース代とか携帯代とか
税理士の顧問料といった固定費を
払ったら実際お金は残らない。
 
毎月ちょっとずつ赤字、火の車です。
 
私のグループホームでは
2棟8室になってようやく
お金が残るようになりました。
 
それでも自分の給料はもらわない。
 
3棟目以降の資金に回したいから。
 
3棟12室が埋まって、
4棟目を立ち上げて埋まってきた
あたりでやっと少しゆとりが出ました。
 
1〜4棟目まで軌道に乗って、
ようやく一息ついたわけです。
 
全部埋まれば粗利は毎月200万円。
 
ここまでくれば自分に給料も払えるし、
二人目の社員も増員できる。
 
組織化の第一歩ですね。
 
組織がない → 組織がある
 
組織をしっかり育てていけば
徐々に運営を任せられるように
なっていくと思います。
 
私にとっても未知ですが。
 
 
ともかく1棟だけじゃ火の車、
なので早々に2棟目以降をやりたい。
 
でもそんなに簡単な話じゃありません。
 
新しい利用者さんを受け入れるのは
けっこう大変なことなんです。
 
集めることができたとして、
その後が大変。
 
アセスメント、支援計画、居室環境、生活スケジュール、通所手段、通院手段、付き添い、余暇支援、家族対応、お薬管理、金銭管理、生活保護手続き、利用開始の行政手続き、利用契約、利用料の請求、給付金の請求、領収証、代理受領通知、職員への支援方針指導、利用者同士の人間関係などなど…
 
やることが盛りだくさんなのです。
 
これを社員1人に任せられるか、
というと多分ムリです。
 
全部一人でやれます!
という優秀な人がいたら
とっくに自分で開業してるはず。
 
社員1人(サビ管)では業務量が大きすぎます。
 
だから、オーナー自身が
働かなきゃいけないということ。
 
 
2棟3棟と目指すならなおさらです。
 
例えば1年で3棟12室を埋めるには
毎月新しい利用者さんを受け入れて
1年間で12人ということになります。
 
しかも既存の利用者さんを見ながら。
 
サビ管1人だったらつぶれてしまう。
 
オーナー自身も働かないと。
 
 
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開業を早まるな!
 
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Yさんの話に戻ります。
 
・大家業をしているがまだ脱サラはできない
 
・今は長期休暇だが復帰したら忙しい
 
・福祉の経験はなく本格的にやる決意もない
 
・開業予定の地域が遠方(所有物件)
 
ご自身でも気づいてくれましたが、
いま開業しても運営が難しい。
 
将来大家業で脱サラして
生活のために働く必要がなくなって
それでもやりたければやればいい。
 
Yさんには時期尚早という結論になりました。
 
 
グループホーム経営のセミナーが
あちこちで開催されている影響で
投資感覚で取り組む人が増えています。
 
収入の柱が欲しい、、、。
 
でも、利益だけを求めるのであれば
もっと別なことをやった方が良いです。
 
投資でなく事業ですから。
 
お金だけ出してあとはお任せとはいきません。
 
オーナー自身が動く必要がある。
 
立ち上げ当初は特にです。
 
 
福祉事業ってそんなに簡単ではないです。
 
不動産投資と比べて収益は良いですが
その分労力もかかるし時間もとられます。
 
なので、よく考えてください。
 
始めたけれどやっぱり廃業となると
いろんな人に迷惑がかかります。
 
開業を早まってはいけません。
 
 
本業はあるけど動ける人。
 
福祉一本で起業するぞ!という人。
 
何があってもあとに引かない決意のある人。
 
 
は是非やってほしいです。
 
応援しています!
 
 
では、また!
 
 
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