おりーです、
若い女医さんは好きですか?
私はちょっぴり苦手です。
なぜかといえば丸はだかで
何もかも見透かされているようで
なんとなく恥ずかしいから。
手術台に乗ったことがある人は
わかってくれると思うのですが…。
お医者さんには我が身を委ねて
全てをさらけ出すものと
思い込んでいるからですかね。
ともかく、
若い女医さんだとテレるのです。
で、
しばらく前のことなのですが、
若い女医さんに呼び出されました。
精神科の女医さんです。
面談の時間をとってあげるから
病院に来なさい、と。
診察ではありません。
友達でもありません。
私のグループホーム利用者で
Aさんという人がいて、
女医さんはAさんの担当医なのです。
利用者Aさんの治療方針について
話があるから病院へ来てください
というわけです。
そうです。
仕事の話をしに行ったのです。
診察以外で医者と話をするのは初めてだし
若い女医さんなのでドキドキしますが
テレてる場合じゃありません。
とりあえず指定の日時に病院へ。
ちなみに先生の方からこちらへ
訪問してきてくれるという考えは
ハナからないようです。
話をしたければ病院へ来なさい
というスタンスなんですね。
午前中の診察時間の合間に
会ってくれるとのことなので
朝早くからクルマで向かいました。
郊外の商業施設を抜けた丘の上、
霊園の隣にある病院に到着。
まわりはぐるっと森の中。
徒歩圏には他に何もない、
ほどよく自然に隔離された感じで
静かでのどかな雰囲気でした。
急きょ呼び出されて来たものの
実はこちらとしても望むところ。
利用者Aさんの日中活動について
以前から考え方に違いを感じていて
物申したいと思っていたからです。
怠け病じゃないの?
こんなことを言うと
怒られてしまうのでしょうが、
精神障害=怠け病
と言う人がいます。
でもそれって別に
障害者に限ったことでは
ないと思うんです。
人間誰しも怠け者。
楽をしたい、疲れたくない、
好きなことだけやっていたい、、、
そんな気持ち、ありますよね。
Aさんもそうでした。
精神病院を退院してホームに入居、
平日毎日、病院のデイケアに
通っているができれば減らしたい。
毎日ホームでのんびり過ごしたいと
以前から口にしていました。
ただ、欲しいものが色々あるので
買い物には出かけたい。
同居している他の利用者さんは
毎日仕事に出かけるのですが
Aさんは今のところ働く意思はありません。
確かに過度な負担は良くないです。
でもAさんの場合、
毎日ベッドで過ごすほど重度ではない。
だからこそ退院してきたわけで。
いきなり社会復帰は無理ですが、
少しずつでもそちらへ向けて
活動を増やすのが良いのではないかと。
現に1人で外出できているので、
休みを増やしたい、仕事はしない
という訴えは怠けのようにも聞こえます。
じゃあどれくらいが適度なのか。
そのことを話し合いたいので
精神病院でAさんを担当している
若い女医さんに会いに行ったわけです。
治療と支援の違い。
立場が違うので意見がぶつかります。
どんな話し合いをしたのか、
参考までに論点をまとめますね。
病院の主張:
(担当の若い女医)
・Aさんは今が限界
・人間関係が負担(障害特性)
・デイケアの集団活動でかなり頑張っている
・もっと休ませる必要がある
・再入院させないことが最優先事項
ホームの主張:
(私@施設管理者)
・Aさんは元気に外出している
・ホーム内の人間関係は良好
・休みが増えれば同居人に悪影響
・ホームは地域に溶け込んだ生活を行う場所
(毎日部屋で過ごすなら退院した意味なし)
15分くらいだったかと思いますが、
とりあえずお互い意見を言って
結論は出ず物別れに終わりました。
なかなか難しい話し合いです。
病院は精神疾患の治療。
ホームは地域生活の支援。
立場が違うので当然見方が違います。
今回新たに知ったのは
計画的な治療方針というのは
存在しないということ。
医者も手探りなんですね。
自分の病気やケガを診てもらった時は
お医者さん先生が絶対的な存在に
思えていたものです。
でもAさんのことに関しては
毎日のように様子を見ていて
仕事に出ることもできそうだなと
支援者としての確信がありました。
なので、女医さんに対しても
割と強く意見してしまいました。
先生、ちょっと戸惑っていた感じ。
もしかすると怒ってたかも。
同席した職員曰く、あんなに
強い口調でまくし立ててるなんて
初めて見ました、だって。
若い先生だったからかもしれませんが
患者の家族や支援者から面と向かって
反対意見を言われることなんて
ほとんどないのかもしれませんね。
こっちもプロとしてやってますから、
病院の言いなりってわけには
行かないのです。
で、病院とホームは意見合わず
最終的にどうなるのか。
本人はどうしたいのか?
障害福祉の世界では
本人の意思が最優先です。
でも100%希望が叶うわけではない。
支援者はできる限り選択肢を示し、
本人の意思決定を支援します。
そいういう意味での意思尊重。
Aさん:
病院にはもう通いたくない、
病院に戻るのも絶対イヤ。
毎日ホームでのんびりしたい。
グループホーム:
ホームは地域生活を支援する目的なので、
ホームに住むなら地域の人と同じように
平日は毎日、何かしら活動すべき。
病院:
再入院しないようAさんの負担を減らしたい。
でもホームにいさせてもらえないなら
再入院もやむなし。
みんなバラバラです。
で、Aさんに提示できる選択肢は3つ。
1)今のホームで毎日活動を続ける
2)別のホームに移る(毎日いられるところ)
3)病院へ戻る
せっかく縁あってうちに来たので
ここでがんばってほしいと思いますが、
残るか出て行くかは本人次第。
方針がブレブレだと支援にならないので
こちらも心を鬼にしてお話しします。
今のところ1)を選んでくれているようですが、
今後どうなるか、見守りたいと思います。
では、また!